建物の骨組みに使用される材料のことを、建物構造といいます。使われている素材はおもに、木造・鉄骨・RC3種類ですが、素材の違いによって防音性がかなり異なります。今回の記事では建物構造ごとの防音性や防音性の高さを見極めるためのポイント、騒音トラブルを回避するためにできることについてまとめます。ぜひ、参考にしてください。
建物の構造ごとの防音性とは
防音性の前に、建物の構造について理解する必要があります。木造(W造)は建物の主要部分に木材を使用した構造で、一般住宅や賃貸アパートの建築方法としてよく用いられます。国内住宅の約6割、一戸建ての9割が木造です。建築コストが低く通気性が高いというメリットがあります。
鉄骨造(S造)は主要部分に鋼材を使用した構造で、鋼材の厚みによって6mm未満の軽量鉄骨造と6mm以上の重量鉄骨造にわけられます。軽量鉄骨造は低層アパートなどで、重量鉄骨造は高層マンションなどで多く見られます。鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋で補強されたコンクリートのことです。
おもに中高層マンションに用いられます。鉄筋コンクリートは高い耐久性や耐震性、耐火性がありますが、もっとも高コストです。これらのうち、もっとも防音性が低いのは木造です。木造住宅で近隣の音が気になる場合は防音対策をした方がよいでしょう。
あまりコストをかけたくないというのであれば、すき間テープや防音カーテン、防音カーペットを使用することである程度の音漏れを防げます。鉄骨造の場合は使用する鋼材の種類や施工方法によって防音性能が異なります。
軽量鉄骨造の場合、壁の空洞に防音材を使用していないと木造と同程度の防音性しかありませんが、重量鉄骨造は壁が厚くなるため防音性が高くなります。もっとも防音性が高いのはRC造です。
気密性が高いため音が伝わりにくいというメリットがありますが、気密性の高さゆえにカビや結露の発生に注意しなければなりません。
防音性の高さを見極めるポイント
賃貸住宅を借りる場合や分譲マンションを購入する場合、防音性の高さはかなり気になるポイントでしょう。いったいどのようにして防音性の高さを見極めればよいのでしょうか。防音性は実際に物件を訪れる内見で確認しなければわかりません。最初に確認するべきポイントは壁や床です。
基本的に壁や床が厚い部屋は防音性に優れています。特に注意するべきは部屋を区切る壁の材質です。石膏ボードなどで各部屋を区切っている物件の場合、隣室の音が漏れてくるかもしれません。
壁を叩いたときに中身が詰まっているような低い音であれば、防音材を使用している可能性が高いですが、高くて軽いコンコンという音がするのであれば、防音性が低い素材を使っているかもしれません。次のチェックポイントは窓です。
二重サッシになっている窓は防音性が高い窓です。二重サッシとは外窓と内窓の二重構造になっている窓のことで、一般的な窓に比べて防音性や断熱性に優れています。部屋の位置も重要です。上の階からの音が気になる場合は最上階を選ぶことで解決できます。
自分が出す音が気になるのであれば、1階や下の階が店舗となっている物件を選ぶとよいでしょう。両サイドを部屋からの音が気になるのであれば角部屋がおすすめです。収納スペースの場所も防音性に影響を与えます。
自室と隣室の間に収納スペースがあれば防音効果が期待できるからです。外からの音が気になるなら、物件の位置も重要な要素です。幹線道路や駅、学校のような人が集まりやすい施設が近くにあると、防音性が高い物件でもうるさく感じます。これらを総合的に考えて防音性の高さを見極めましょう。
騒音トラブルを避けるためにできること
自分自身が騒音トラブルに巻き込まれないためにどうすればよいのでしょうか。一言で言えば、生活音を外に漏らさない工夫が必要です。環境省のパンフレット「生活騒音」によると、騒音の23%が電機機器によるもので、人の声や足音が13%、ペットが11%、楽器や音響機器によるものが9%を占めています。
電化製品からの騒音を防ぐには、騒音が小さい機器を購入したり、機器を設置する場所に消音マットを敷くといった対策が効果的です。深夜や早朝に音が大きくなりがちな掃除機や洗濯機などを使用しないといった配慮も大切です。
足音を防ぐには床にカーペットやマットを敷いたり、椅子の脚などにフェルトを貼るのが効果的です。ドアの開け閉めを静かにしたり、深夜に歩くときに気を配ることも大切です。風呂などを深夜・早朝に使用するのは控えたほうが無難です。
大きな音が出がちなテレビ・オーディオ機器、目覚ましの場合は、適正な音量で使用しましょう。そして、室内でピアノやドラム、ギターといった楽器を演奏するのであれば本格的な防音対策が必要です。
まとめ
今回は建物構造による防音性の違いや防音性の高さを見極めるポイント、騒音トラブルに巻き込まれないためのできることについて紹介しました。集合住宅に住んでいる場合は騒音トラブルに巻き込まれる可能性がゼロとは言えません。入居する前に防音性を確かめると同時に、入居後もトラブルに巻き込まれないよう細心の注意を払った方がよいでしょう。