
近年では、家づくりの際に和室をつくらない家庭も増えています。しかし、注文住宅に和室部屋を設けることにはさまざまなメリットがあることをご存じでしょうか。本記事では、家づくりにおいて和室を設けるメリット・デメリットや、その用途について詳しく紹介します。家づくりで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
注文住宅に和室部屋を設けるメリット
和室の魅力には多くのメリットがあり、その汎用性の高さが特に大きな特徴です。そのメリットを、以下で見ていきましょう。
さまざまな用途に柔軟な対応が可能
和室は、1つの部屋を居間、食事スペース、寝室など、さまざまな用途に合わせて柔軟に活用できます。例えば、座卓と座布団を使うことでリビングや応接室のように、食事を運んでそこで食べることも可能です。
また、布団を敷けば寝室としても利用でき、用途に合わせた空間作りができます。この柔軟性は急な来客の際にも便利で、予備の部屋として和室を確保しておく人も多いです。
子どもや高齢者にとって安全
和室は、転倒してもケガをしにくいという点も大きなメリットです。畳は適度な柔らかさを持ち、転んだ際にも衝撃を和らげます。この特性は、赤ちゃんや幼児がいる家庭にとって大きな安心材料となることでしょう。
また、高齢者にとっても足に優しく、長時間の滞在でも疲れにくいという利点があります。万一転倒しても、畳のおかげで大きなけがにつながりにくいという点が安心感を与えます。
リラックス効果がある
和室は、リラックス効果も持っています。畳の香りや質感が落ち着きを与えると感じる人は多く、実際にイ草に含まれるフィトンチッドが、森林浴と同じような効果を持つことが科学的に証明されています。このため、和室にいると心身がリラックスできると感じる人が多いです。
湿度調整機能がある
また、湿度調整機能も和室の大きな利点です。畳に使われるイ草やワラは吸湿性に優れており、部屋の湿度が高ければ水分を吸収し、湿度が低ければ放出します。このため、和室は日本の高温多湿な気候に非常に適しており、快適な室内環境を維持することが可能です。
さらに、畳には消臭効果も期待できます。汗やタバコ、ペットの匂いを吸着してイヤな臭いを軽減してくれるため、清潔感を保つことができます。
注文住宅に和室部屋を設けるデメリット
和室には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
定期的なメンテナンスが必要
まず、和室は定期的なメンテナンスが必要です。畳やふすま、障子は洋室のフローリングや壁紙に比べて傷みやすいです。とくに、障子やふすまの張り替えは専門業者に依頼することが多いため、費用がかかります。畳の張り替えは比較的簡単であるものの、これも定期的に行う必要があります。これを面倒に感じる人には、和室の維持が負担となることがあるでしょう。
LDKのスペースが狭くなる
次に、和室を設けることで、LDKのスペースが狭くなるという点もデメリットです。和室を作ると、部屋の広さが限られてしまうため、家庭内でのスペースの使い方に工夫が求められます。とくに、広い和室を設けるには4畳以上のスペースが必要です。そのため現代の生活スタイルでは、小上がりや畳スペースに代わるケースが増えています。
重い家具を置けない
また、重い家具を和室に置くと、畳に傷やへこみがつくことがあります。とくに、脚のある家具や子どもの玩具が畳を傷つける原因となるため、フローリングに比べて気を使う場面が多いです。これも和室の使い勝手が悪く感じる要因となることがあります。
ダニ・カビが発生しやすい
さらに、湿度が高い環境では、畳がダニやカビの温床になりやすい点もデメリットです。とくに、梅雨の時期など湿気が多いときには注意が必要です。そのため、湿気がこもりやすい場所に和室を設けるのは避けた方が良いでしょう。
和室の主な用途を紹介
和室はその柔軟な使い道が魅力で、1部屋あるだけで多様な用途に対応できる点が特徴です。まず、和室の最も一般的な利用法は客間です。来客があった際、和室はリビングや応接室としても使えます、さらに、布団を敷けば寝室としても活用できるため、洋室に比べて使い勝手が良いです。これにより、急な来客にも対応できる便利なスペースになります。
また、将来の同居を考えて和室を用意する人も多いです。親が高齢になった際、同居するために和室が適していると考える人が増えています。和室は寝室として使いやすいだけでなく、日中の過ごしやすい空間としても機能します。洋室のベッドではなく、布団で寝る方が体に優しいという点も利点です。
さらに、和室は子どもの遊び場や家事スペースとしても非常に便利です。キッチンの近くに和室を設けると、家事をしながら子どもを遊ばせることができ、畳の柔らかさが転倒時の安全を確保します。子どもが遊び疲れても、昼寝をするスペースとして最適です。また、アイロンがけなどの家事を和室で行い、収納スペースをうまく活用することも可能です。
まとめ
注文住宅に和室を設けることには多くのメリットがあります。和室はその柔軟性に優れ、居間、寝室、食事スペースなど、さまざまな用途に応じて活用可能です。さらに、畳は転倒時の衝撃を和らげ、子どもや高齢者にも安心です。また、畳の香りや湿度調整機能によるリラックス効果も魅力的です。しかし、和室には定期的なメンテナンスやスペースの制約、重い家具を置けない点などのデメリットもあります。それでも、和室は客間や同居用、家事スペースとして非常に便利で、多機能な部屋として家全体に大きな価値を提供してくれます。