
注文住宅を購入する際に最も意識するべきポイントとして、安全性が挙げられます。とくに耐震性は、地震がしばしば発生する日本において重大な役割を果たすことでしょう。本記事では、注文住宅の耐震性を高めるべき理由や、耐震性の高い家づくりのためのポイントをまとめて解説します。家づくりを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
注文住宅を耐震性の高い家にするべき理由
注文住宅で耐震性の高い家を選ぶことは、住む人々の安全を守るために非常に重要です。注文住宅を耐震性の高い住宅にするべき理由は、以下の通りです。
地震の被害を抑えられる
まず、耐震性の高い家は、地震による被害を抑えることができます。日本では、1981年以降に建設された住宅は「新耐震基準」を満たしており、震度5程度の揺れでは損傷せず、震度6強から7の揺れでも倒壊しない構造が求められています。耐震性が高い家ほど、大きな地震に耐える力を持っているのです。
地震以外の災害にも強くなる
次に、耐震性の高い住宅は地震以外の自然災害にも強くなります。例えば、台風や大雨などの強風や水平方向の揺れに対しても、耐震構造があれば被害を最小限に抑えられます。これは、自然災害全般から家族を守るための大きなポイントです。
地震保険料の割引を受けられる
また、耐震性の高い家にすることで、地震保険料の割引が受けられるというメリットもあります。耐震等級3では最大50%の割引が適用されるなど、耐震等級が高いほど保険料の割引率も増えます。
補助金・減税などの優遇措置を受けられる
さらに、耐震性を高めることで、補助金や減税といった優遇措置が受けられます。国や自治体からの補助金を受けることができ、条件を満たせば「長期優良住宅」として省エネ性や耐震性に関する特典を受けることも可能です。加えて、耐震住宅には「住宅ローン減税」など税制上の優遇もあり、総合的に見ても経済的な負担が軽減されます。
耐震性の高い家づくりをする際のチェックポイント
注文住宅で耐震性の高い家を建てる際に確認すべき点は多岐にわたります。
耐震等級
まず、耐震等級の確認が重要です。耐震等級は、建物の地震に対する強度を示す数値で、1から3までの等級があります。耐震等級1は最も低く、震度6強から7の地震で倒壊しない最低限の性能を備えています。
耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の強度を持ち、補修が可能な範囲で耐えられます。耐震等級3は最も高く、大きな地震でもダメージが少なく、安全に住み続けられます。
地震対策の構造の種類
地震対策の構造には免震、制震、耐震の3つがあり、それぞれ異なる効果があります。免震は揺れを建物に伝えにくくして損傷を防ぎますが、コストが高いため主にマンションに採用されます。制震は建物の揺れを吸収し、損害を軽減可能です。耐震は強度を高めて揺れに耐える構造で、戸建住宅には一般的に用いられます。
家の構造・工法
さらに、家の構造や工法も耐震性に影響します。木造には、伝統的な木造軸組工法と、耐震性に優れた2×4工法があります。一方で鉄骨造は強度が高いですが、コストが高くなる傾向があります。
地盤改良
最後に、地盤改良の重要性も忘れてはいけません。地盤が弱ければ、建物が倒壊するリスクが高まります。地盤改良には、柱状改良工法、表層改良工法、鋼管抗工法などがあり、地盤の状態に応じて最適な方法を選ぶことが求められます。
耐震性の高い家づくりをする際の注意点
耐震性の高い注文住宅をハウスメーカーに依頼する際には、いくつかの注意点があります。
通常よりもコストが多くかかる
まず、耐震性の高い家は通常よりもコストがかかることを理解しておく必要があります。多くのハウスメーカーでは、耐震等級3を取得するための費用や建設費用がオプション扱いになっています。また、地盤の調査や改良が必要な場合は、これに伴う費用も別途発生するかもしれません。
土地の地盤にも要注意
次に、住宅だけでなく土地の地盤にも注意を払うべきです。地震に強い家を建てるためには、まず土地の地盤が強いことが前提です。地盤が弱いと、地震の際に地盤沈下が起こるリスクが高くなります。
土地購入前には、国土交通省が提供している「ハザードマップポータルサイト」などで地盤の強さを確認し、地盤改良が必要かどうかを判断することが重要です。
耐震等級の申請は建設前に行う
さらに、耐震等級の申請は住宅が完成してからでは行えません。注文住宅では、希望する耐震等級のランクを選ぶことができますが、これは住宅が建設される前にハウスメーカーに伝えておく必要があります。建設が始まった後では耐震等級の変更や申請が難しくなるため、早い段階で要望を伝え、希望の耐震等級を確保することが大切です。
まとめ
注文住宅で耐震性を重視することは、住人の安全を守るために欠かせません。耐震性の高い家は、地震の際の被害を最小限に抑えるだけでなく、台風や大雨など他の自然災害にも強いという大きなメリットがあります。さらに、耐震性が高い家は地震保険料の割引や、補助金・減税などの経済的優遇措置を受けることができ、長期的に見ても家計に優しい選択です。家づくりを進める際には、耐震等級や地震対策の構造、地盤改良などを確認し、慎重に計画を立てることが大切です。安全で安心な家を手に入れるためには、最初からしっかりと耐震性を考慮した設計を心掛けましょう。